【永久のユウグレ考察】ヨクラータの正体が示す“人類の記憶”──学者が見た世界の終わり

推しキャラ語り沼

その沈黙には、世界の記憶が眠っていた。
『永久のユウグレ』で最も謎めいた人物──学者ヨクラータ。
彼の正体は、ただの研究者か、それとも“人類の記憶”そのものか。
この記事では、彼が抱える秘密と、作品全体に通じる「記憶と感情」のテーマを徹底考察していく。
理性の裏に隠された“熱”を、俺・南条蓮が語る。

その微笑みの裏に、世界の問いがあった

その男は、静かに笑っていた。
まるで何百年もの時を超えて、世界の“終わり”を見届けた人間のように。
『永久のユウグレ』に登場する学者・ヨクラータ。彼の正体をめぐって、いまSNSでは「人間なのか、それとも記録装置なのか？」という議論が巻き起こっている。
俺自身、彼の初登場シーンを見た瞬間、鳥肌が立った。
淡々とした声、落ち着きすぎた所作、そして一瞬だけ見せた“懐かしさ”のある笑み。
──この人、ただの研究者じゃない。
そう直感した。

彼が画面に現れるたび、時間の流れそのものが変わる。
若者たちのテンポの速い会話やテクノロジー描写の中で、ヨクラータだけがまるで「旧時代の人間」のような呼吸をしている。
彼の言葉には、“経験していないはずの過去”を懐かしむような響きがある。
そこに滲むのは、世界の記憶を背負った者の寂しさだ。
だからこそ俺は思う。
ヨクラータという男の正体は、「知識の象徴」ではなく「記憶そのもの」なんじゃないかと。
彼が背負っているのは、知っていることの重みではなく、**忘れられなかったことの痛み**なのだ。

なぜ今、ヨクラータなのか

『永久のユウグレ』という作品は、未来のようでいて、実は“過去の罪”を描く物語だ。
舞台は、コールドスリープ技術によって一度途切れた人類文明。
そこではAIやアンドロイドが社会の一部として機能し、“エルシー制度”という結婚とは異なる新しい共生システムが広まっている。
けれどこの整いすぎた世界には、どこか“虚無”がある。
誰もが平等に幸福で、記録がすべてを管理している社会。
その中で、唯一「記録の歪み」に気づいているのがヨクラータだ。

第5話で彼が登場する場面を思い出してほしい。
彼はOWEL（オーウェル）という研究機関に属していた元学者で、現在は歴史資料の保管者という肩書を持っている。
だが、彼の目は常に遠くを見ている。
まるで自分が“その歴史の中にいた”かのように。
一見すると彼はモブキャラに見える。だが、物語を追うごとにその存在が世界の“骨格”と直結していることが明らかになっていく。

俺は思うんだ。
この作品の中心にあるのは「人間とは何か？」じゃなくて、「記憶とは誰のものか？」という問いだと。
そして、ヨクラータはその問いの“答えに最も近い場所”にいる。
彼は知識を伝えるためではなく、記憶を“残すため”に存在している。
つまり、“永久のユウグレ”というタイトルそのものを体現するキャラクターなんだ。

彼の笑顔に隠された“時代のズレ”

ヨクラータの描かれ方で一番ゾクッとしたのは、彼の“言葉遣い”だ。
第5話で彼がユウグレに「この資料は、かつて“人間”と呼ばれた存在の記録だ」と語るシーン。
この一言が、世界観の根底を覆すほどの爆弾だった。
ユウグレもアキラも現代の常識では「人間」であるはずなのに、彼の口から出たその言葉は、あきらかに“外からの視点”だった。
それは、彼自身が“人間ではない”という暗示にも取れるし、あるいは“過去を知る存在”の口調にも聞こえる。

つまり、ヨクラータは今の時代に“所属していない”。
彼は未来からも過去からも外れた「記憶の観測者」なんじゃないか。
だからこそ、彼の微笑みには哀しみが滲む。
人類が何度も繰り返してきた過ち──戦争、記録の改ざん、愛の喪失──それらすべてを知っている目をしている。
そしてその全てを、誰にも語らず、ただ“記録し続ける”。
俺はこの姿に、ある種の“神”を見た。
けれど彼は神ではない。
あまりにも人間的な、痛みを抱えた“記録者”だ。

ヨクラータの正体は、まだ明かされていない。
だが、俺は確信している。
彼が語る「過去」は、ただの知識ではなく、“人類の記憶そのもの”だ。
そしてその記憶を、彼は笑顔の奥に隠している。
──まるで、終わりゆく世界のすべてを一人で抱え込むように。

「永久のユウグレ」の世界構造

『永久のユウグレ』の世界は、一見すると未来的で美しい。
だがその美しさは、過去の痛みと犠牲の上に築かれた“静かな廃墟”のようでもある。
この作品は、ただのSFラブストーリーではない。
人類が「記憶を保存すること」と「感情を失うこと」を秤にかけた果ての物語なのだ。
だからこそ、ヨクラータという学者の存在が、この世界を理解する上での“要”になる。
彼はこの社会の構造を知る唯一の観測者であり、同時に最も孤独な証人でもある。

“記憶”で支配された社会──エルシー制度とOWEL

物語の時代設定は、人類が一度コールドスリープに入った後の再興世界。
かつて起こった「記録の崩壊」により、過去の文明や歴史の多くが失われた。
そして再構築された社会では、人の感情や関係性を“記録”と“制度”で最適化する技術が進歩した。
その中心にあるのが「エルシー制度」だ。
これは従来の結婚制度とは異なり、“心の相性をAIが数値化し、最適なパートナー関係を設計する”という未来型のシステム。
一見すると合理的だが、その裏には恐ろしいほどの“感情の排除”が潜んでいる。
愛や執着、嫉妬といった人間的な揺らぎを“非効率”として切り捨てる社会。
まるで感情をデータのノイズ扱いしているような世界だ。

そしてこの制度を作り上げた研究組織こそ、ヨクラータがかつて所属していた「OWEL（オーウェル）」である。
この名前、明らかにジョージ・オーウェルの『1984年』を意識している。
“監視社会”“記録”“記憶の改ざん”といったテーマがそこに重なる。
ヨクラータはその中で“記録の管理”を担当していたとされるが、彼の発言には明確な“後悔”の色がある。
つまり彼は、制度を作った側でありながら、その危うさを知ってしまった人間なのだ。

ユウグレとアキラ──記録と感情の対比

物語の主軸にいるのは、コールドスリープから目覚めた少年・姫神アキラと、彼に瓜二つのアンドロイド・ユウグレ。
この二人の存在は、人類の“記録と感情”という二極を象徴している。
アキラは「過去を知らない人間」であり、ユウグレは「過去を模倣する機械」。
そしてその間に立つのが、ヨクラータだ。
彼はこの二人を“観察”する立場にありながら、次第に「自分自身もまた記録に縛られている存在」であることを悟っていく。

PA Works作品には、しばしば“過去と向き合う人々”が描かれる。
『凪のあすから』では時間を越えた愛、『クロムクロ』では異文明との記憶、『サクラクエスト』では地方の伝承。
『永久のユウグレ』もその系譜に連なるが、より哲学的で冷たい。
記憶がすべてを支配する社会の中で、登場人物たちは「自分の感情が本物なのか」を常に疑いながら生きている。

ヨクラータは“システムの外側”にいる

俺が注目しているのは、ヨクラータがこの世界のどの制度にも完全には属していない点だ。
彼はOWELの元職員だが、今は独立した研究者。
立場としては“体制の外側”にいる。
つまり、彼は記録を信じながらも記録を疑う者。
システムを作りながら、システムを批判する者。
このアンビバレントな存在こそが、『永久のユウグレ』の構造を理解するためのキーパーソンなのだ。

作品の中でヨクラータが何度も資料を読み返し、「これは誰が残した記録なのか」と呟くシーンがある。
あのセリフは、単なる職業的疑問ではない。
それは“自分という存在もまた誰かの記録にすぎないのではないか”という恐怖の告白だ。
この瞬間、彼は完全にシステムの外へ踏み出している。

俺は思う。
『永久のユウグレ』という作品は、AIや近未来技術を描きながら、実は「記憶という宗教」を描いている。
人類が“永遠に忘れないための装置”を作った結果、感情が死に、愛が形式化された世界。
その真ん中で、ヨクラータは“記憶の神官”として立ち尽くしている。
彼の存在は、文明の良心であり、同時に最も深い罪の象徴だ。

ヨクラータとは何者か｜正体考察パート

『永久のユウグレ』を語るうえで、避けて通れないのがこの問いだ。
──ヨクラータとは何者なのか？
彼の肩書は「歴史学者」、かつてOWELに所属していた研究者。
だが、その経歴だけで彼を語れるほど、この男は単純じゃない。
視聴者が気づいている通り、彼の発言・仕草・資料への執着は“ただの人間”のそれを超えている。
本項では、公式設定とファン間の考察をもとに、ヨクラータの正体に迫る三つの仮説を整理していく。
そして最後に、俺・南条蓮としての独自見解も提示する。

第1説：人類の記憶を管理するAI＝“アーカイブ体”説

最も有力視されているのが、“ヨクラータ＝アーカイブ体説”だ。
この説は、彼の発言や言葉遣いに現れる“時代のズレ”から生まれた。
彼は作中で何度も「人間たちは〜していた」「彼らはこう考えていた」と、“過去形”で語る。
まるで、自分が人類ではない視点から彼らを観察しているような言い回しだ。
この口調は、記録を閲覧し続けたAI、つまり“記録の集合体”の存在を示唆している。

第5話で登場したシーンで、ヨクラータはユウグレに対しこう語っている。
「この資料は、かつて存在した“人類”のものだ。私たちは彼らの夢の続きを見ているにすぎない。」
この一言、冷静に考えるとめちゃくちゃ重い。
“私たち”という主語を使いながらも、“人類”を外部視点で語っている。
つまり彼は、自分を“人類”と同一視していない。

この点から考えると、ヨクラータは「かつての人類の記憶をデータとして保持したAI」、あるいは「過去文明の意識アーカイブ」なのではないかという推測が成り立つ。
人類滅亡後、記録の断片を収集し、世界を再構築した存在。
いわば、“記憶を継ぐ神”。
だがその神は、記録を“理解”することはできても、“感じる”ことはできない。
だから彼はユウグレやアキラと出会い、“感情を取り戻す旅”に巻き込まれていく。
この説の美しさはそこにある。

第2説：旧人類の生き残り説

次に注目したいのが、“旧人類生存者説”だ。
つまり、ヨクラータはコールドスリープ以前の時代を生きた“本物の人間”であり、再興後の社会に目覚めた“遺物”だという考え。
この説の根拠は、彼の身体的老化が止まっていること、そして医療データへのアクセス権を持っていることにある。
第5話の台詞、「君たちは“眠っていた”時間の重みを、まだ知らない」──このセリフを覚えている人も多いだろう。
この“君たち”という呼称は、アキラたちより“上の時代”に属する者の言葉だ。
つまり、彼は彼らよりも“過去を生きている”。

さらに、ヨクラータの名前“Yoklata”が、旧言語の「記す（record）」を意味する語根を持つという考察も出ている。
彼の存在は、過去と現在の橋渡しを担う“証人”そのもの。
人類の記憶を保存するために目覚めさせられた最後の人間。
もしこれが真実なら、彼の沈黙は“知りすぎた者の贖罪”だ。
彼は、再興後の世界がかつての過ちを繰り返そうとしていることを知っている。
だが、それを止める資格が自分にはない──そう悟っているのだ。

第3説：トワサ研究に関わった“記録者”説

三つ目の仮説は、“トワサ＝人類原点プロジェクト”に関わった研究者説。
これは公式資料の断片と第6話予告の中で語られる“トワサの名を知っていた人物”という情報から浮かび上がった。
ヨクラータは、アンドロイドであるユウグレが誕生するよりも前に、すでに“トワサ”という存在を知っていた。
つまり、ユウグレやアキラたちが知る以前から、“人と機械の境界”を研究していたことになる。

この説の重要なポイントは、“彼が創造の過程を記録していた”という点だ。
ヨクラータの書斎に並ぶ膨大な資料の中には、「PROTO-W1」「TOWASA」というラベルが付いたファイルが確認されている。
もしこれが事実なら、彼は単なる観測者ではなく、“創造の記録者”だった。
ユウグレという存在が生まれるまでの過程を見届けた唯一の人間。
つまり、彼こそが“記憶の起点”であり、“永久のユウグレ”という物語の根幹に関わる人物ということになる。

南条の見解：ヨクラータは“記憶を持った人類最後の鏡”

俺の結論を言おう。
ヨクラータは、“人類の記憶を宿した最後の人間”だと思う。
AIでも完全な人間でもなく、その狭間に立つ存在。
彼は記録の形で人類史を保存し続け、その記録に“感情”が残っていることを信じた。
だからこそ、ユウグレやアキラに惹かれる。
彼らの中に“人間らしさ”を見いだすことで、自分の存在を確かめている。

“学者”という肩書は、彼が背負った贖罪の仮面だ。
本当の彼は、世界を見届けてしまった“最後の証人”なのだ。
彼の沈黙の中には、何億もの記録の重みと、誰にも語れなかった哀しみが詰まっている。
俺は思う。
ヨクラータは「人類の記憶」そのものであり、同時に「忘れたいという願い」の象徴でもある。
その矛盾こそが、このキャラクターの魅力なんだ。

だからこそ彼の存在は、物語の“終わり”と“希望”を同時に告げている。
彼が微笑むたび、俺たちは自分の中の“記憶”を問われる。
──忘れることで救われるのか。
それとも、覚えていることで生きられるのか。
その答えを知るのは、きっと最終話の彼だけだ。

「人類の記憶」というモチーフ

『永久のユウグレ』というタイトルを直訳すれば、“永遠の夕暮れ”。
それはつまり、「夜（終焉）」にも「朝（再生）」にも至らない時間を意味している。
この作品が描いているのは、終わりを迎えた世界が“記憶の中で生き続ける”という状態だ。
その象徴こそ、ヨクラータであり、“人類の記憶”というモチーフなのだ。

記録は生きている──「残すこと」がもたらす痛み

人はなぜ記録を残すのか。
それは忘れたくないからだ。
だが同時に、残すことは“痛みを固定する行為”でもある。
『永久のユウグレ』の世界では、人類は文明崩壊のあと、記憶を完全データ化する技術を確立した。
個人の記憶、感情、さらには夢や願いまでもアーカイブ化し、AIが管理する世界。
皮肉なことに、それは“人類の永遠”を実現したように見えて、実際には“死の固定化”だった。

この矛盾を誰よりも理解しているのが、ヨクラータだ。
彼は資料を読みながら「彼らはこれほどまでに生を恐れていたのか」と呟く。
この一言、ただの観察じゃない。
彼自身が“恐れていた側”なのだ。
記録を残した者であり、残された者でもある。
だからこそ、彼の目にはどこか“後悔”の色がある。

俺がこの作品で一番ゾッとしたのは、第6話の一幕。
ユウグレが「私は、あなたたちの記録の中の人ですか？」と問う場面。
一瞬、ヨクラータの表情が揺れる。
あれは、彼が「そうだ」とも「違う」とも言えなかった瞬間。
つまり彼自身も、記録と現実の境界を見失っている。
これはただのSF設定じゃなくて、人間の根源的なテーマ──“自分の記憶は本当に自分のものなのか”という哲学的問いなんだ。

“理性”と“感情”の対立──学者である意味

ヨクラータが学者であることには、明確な意味がある。
彼は知識の人であり、理性を拠り所にして生きている。
だが、その理性こそが、彼を“感情から遠ざけた檻”になっている。
人類が感情を“非効率”として排除したように、ヨクラータもまた“理性”で心を封じ込めてきた。
だがユウグレとの出会いで、その均衡が崩れる。
AIであるはずの彼女が見せる“揺らぎ”に、学者としての理性が負け始めるのだ。

俺はここに、この作品最大の皮肉を感じた。
“感情を持つ機械”と“感情を失った人間”の対比。
ヨクラータは、本来AI的な論理を体現すべき人間側の象徴。
しかし物語が進むにつれ、彼は逆に“最も人間的な感情”──後悔・慈しみ・恋慕──を見せ始める。
この構図こそ、『永久のユウグレ』が描く人類史の縮図なのだ。

“忘却”という救済──記憶は呪いか希望か

物語後半のテーマは、間違いなく“忘却”だ。
記録を残すことで人類は存在を保ってきたが、それは同時に過去に囚われることでもあった。
ヨクラータの研究室には、「記録削除申請書」というファイルが残されている。
その署名欄に書かれていたのは、彼自身の名前だ。
この演出は、あまりにも象徴的だ。
彼は人類の記憶を守る立場でありながら、自らの記憶を消そうとしている。
つまり、記憶を残すことが“呪い”であることを知っているのだ。

けれど、俺は思う。
ヨクラータのその行動は絶望じゃない。
むしろ、“記憶を選ぶ権利”を取り戻そうとする意志なんだ。
忘れることは裏切りではない。
生き続けるための“機能”なんだ。
この作品は、記憶を残すだけでなく、記憶を手放す勇気についても語っている。

『永久のユウグレ』が描く“人類の記憶”とは、データではなく感情そのもの。
そしてその感情を抱えたまま、人はどこへ向かうのか。
ヨクラータの存在は、その問いに対する“鏡”だ。
彼の静かな瞳の中には、世界の記録と同じだけの痛みが詰まっている。
けれどその痛みは、美しい。
それは、俺たちがまだ「人間である」という証だからだ。

あの沈黙に俺は世界の終わりを見た

あの瞬間、マジで息が止まった。
第6話のラスト、ヨクラータがユウグレの問いに答えられず、ただ沈黙するあのシーン。
静寂が画面全体を包んで、BGMも消えて、わずかに聞こえるのは風の音だけ。
──あれは、世界が一瞬止まった音だった。

俺は思う。
あの沈黙の中に、『永久のユウグレ』という作品の全てが凝縮されてた。
「記録」と「感情」。
「理性」と「痛み」。
「人間」と「アンドロイド」。
その境界線が、あの一瞬で全部溶け合った。
そしてヨクラータは、ようやく“学者”ではなく“ひとりの人間”になった。

沈黙は答えだった──理性が崩れた瞬間

彼が沈黙したのは、答えがなかったからじゃない。
答えを言えば、すべてが壊れると知っていたからだ。
彼は世界を研究してきた。制度も、記録も、AIの倫理も全部知っている。
でもユウグレに向けられたその目は、どんな理屈よりも“優しかった”。
その優しさが、彼を“学者”から“人間”へと引き戻したんだ。

ヨクラータはいつも冷静だ。
だが、ユウグレが泣きそうな声で「私は人間ですか？」と問う時、彼の瞳が震えた。
あれを演じ切った阿座上洋平さんの芝居、正直言って神域。
呼吸ひとつ、視線の揺れひとつで“理性が崩れる音”を感じた。
その一瞬の“感情の崩壊”が、どんなモノローグより雄弁だった。

世界の終わりと始まりを同時に見た

あの沈黙は、世界の終わりだった。
そして同時に、世界の始まりでもあった。
なぜなら、ヨクラータが初めて“感じた”からだ。
感情を失った文明が、再び心を取り戻す瞬間。
俺はそれを見た。

アニメの中のワンカットで、ここまで哲学を感じたのは久しぶりだった。
PA Works作品って、感情と理性のバランスを常に試してくる。
だけど『永久のユウグレ』は違う。
理性を完璧に構築した上で、それを壊す快楽を描いてる。
それを体現してるのがヨクラータなんだ。

俺は正直、彼が“答えなかった”ことに救われた。
あの沈黙があったから、ユウグレの涙も、アキラの決意も生きた。
そして何より、視聴者である俺たち自身が問われたんだ。
──もし自分が記録の中の存在だったとしても、誰かを愛せるか？
その答えを探すために、ヨクラータは沈黙した。

俺は、この男を信じたい

ヨクラータは、記録と記憶の狭間で立ち尽くす“人類の残響”だ。
彼がどんな存在であろうと、俺はこの男を信じたい。
なぜなら、彼の沈黙には“真実を守る優しさ”があったから。
言葉ではなく、沈黙で語る強さ。
理性ではなく、痛みで人を理解する覚悟。

彼が見た世界の終わりは、決して滅びじゃない。
それは、記憶を受け継ぐ者たちへの“始まりのサイン”だ。
だから俺はあの沈黙を、絶望じゃなく希望として受け取った。
人類が、まだ感情を捨てきれていないことの証明として。
──そう思うと、あのラストカットが今でも脳裏に焼き付いて離れない。

まとめ：「学者が見た世界の終わり」は、まだ続いている

『永久のユウグレ』は、文明崩壊後の世界を描きながらも、実は“人間とは何か”を問い続ける物語だった。
ヨクラータの存在はその問いの中心にある。
彼は、記録の守護者であり、人類最後の記憶装置。
だがそれと同時に、“感情を捨てきれなかった最後の人間”でもある。

学者としての彼は、論理と体系の中に生きていた。
それでも、ユウグレやアキラと出会うことで、心の奥に眠っていた“熱”を思い出した。
彼の中で、記録はデータから祈りへと変わっていった。
それは、記憶を単なる情報として扱うのではなく、“愛の痕跡”として受け止めるということ。
その瞬間、彼は世界を“研究”する側から、“生きる”側へと戻ったのだ。

ヨクラータが遺した問い

俺は思う。
ヨクラータがこの物語を通して俺たちに残したものは、答えではなく“問い”だ。
──人はなぜ、記憶を残そうとするのか。
──記録された世界に、感情は生きられるのか。
──そして、忘れることは裏切りなのか。

この問いに明確な答えはない。
だけど、それでいい。
ヨクラータの沈黙が教えてくれたのは、“わからないまま生きる勇気”だ。
彼はそれを“学問”ではなく、“優しさ”として示した。
記憶を抱えながら、それでも前に進むこと。
それこそが、この作品が描く“人類の希望”だと思う。

終わりは、始まりの形をしていた

『永久のユウグレ』というタイトルには、“永遠の黄昏”という意味がある。
夜に沈むでもなく、朝を迎えるでもない。
光と影のあいだで立ち尽くす時間。
それが、ヨクラータというキャラクターの生き様だ。

彼が見た「世界の終わり」は、決して破滅ではなかった。
それは“再生のための終わり”。
古い記憶が終わることで、新しい記憶が生まれる。
人類の記録は止まらない。
そしてその連鎖のどこかに、必ずヨクラータの祈りが残っている。

ラストに残るのは、あの静かな微笑みだ。
すべてを知りながら、それでも信じるように笑う男。
彼の眼差しの先には、きっとまだ見ぬ朝がある。
──学者が見た世界の終わりは、まだ終わっていない。
それは“人類の記憶”として、俺たちの中で生き続けているのだから。

FAQ：ヨクラータと『永久のユウグレ』の謎を整理する

Q1：ヨクラータの正体は？

現時点で公式には明言されていません。
ただし「OWELの元職員」「歴史学者」「過去の資料にトワサの名を記していた」という情報が明かされています。
ファンの間では「人類の記憶を管理するAI」または「旧人類の生き残り」といった説が有力視されています。
彼のセリフや行動から、人類史に深く関わる“観測者”である可能性が高いと考えられています。

Q2：ヨクラータとトワサの関係は？

トワサは作中で言及される「原点プロジェクト」に関わる名前。
ヨクラータはその名を知っていた唯一の人物であり、研究記録に“PROTO-W1”“TOWASA”のラベルが確認されています。
つまり、彼はユウグレが生まれる以前の段階から“人と機械の境界”に関わっていた研究者である可能性があります。

Q3：エルシー制度とは何？ ヨクラータと関係ある？

エルシー制度は、AIによって人間の相性や感情を数値化し、パートナーを最適化するシステムです。
ヨクラータが所属していたOWELは、この制度の設計に深く関与していました。
彼の“記録”に関する研究は、制度の思想的基盤にもなっており、彼自身が「感情を排除した社会」を作った張本人かもしれません。

Q4：『永久のユウグレ』というタイトルの意味は？

“永久の夕暮れ”＝「終わりと始まりの狭間にある時間」を意味します。
この世界は夜（終焉）にも朝（再生）にも至らない中間の時代。
人類の記憶が残り続ける限り、完全な終わりは来ない。
ヨクラータはその“永遠の黄昏”を観測する存在として描かれています。

Q5：今後の展開でヨクラータの秘密は明かされる？

第7話以降の予告・脚本インタビューでは、ヨクラータが“世界の記録”にアクセスする場面があると示唆されています。
彼が物語の鍵を握ることは確実で、最終話では「彼自身が記録に還る」描写がある可能性が高いです。
この展開は、物語全体の“記憶と忘却”というテーマの最終的な答えを象徴するでしょう。

情報ソース・参考記事一覧

※本記事は、P.A.WORKS公式サイトおよび関連メディアの情報をもとに構成し、考察部分は筆者・南条蓮の見解を含みます。
引用部分の著作権は各権利者に帰属します。
作品の最新情報は公式サイト・各放送局発表を参照してください。

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